無線LAN中継機の副作用について考える
登録日:2013年04月21日

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無線LAN中継機の副作用について考える
無線LAN中継機(ロジテック LAN-RPT01BK)試用中
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さて、LAN-RPT01BKは無線LAN中継機なわけですが、ネットワーク内を流れるプロトコルを処理する機械としての役割からLAN-RPT01BKを分類すると、Repeater(リピーター)であります。つまり、単純に信号を延長するだけの機器です。逆に言えば、ルーティング、フィルタリング、スイッチング等の機能は持たないので、LAN-RPT01BKを導入することによる「副作用」は無いと考えられます。

【副作用を考える1~MACアドレスフィルタ機能は無効になる】
…がしかし、現実にはそうはなりません。何しろ商品ページに、こう明記されています。↓
本製品を介した場合、親機(無線ルータなど)で設定されているMACアドレスフィルタ機能は無効となります。
…といったように、少なくとも上記のような副作用があるのは確かなわけです。大事なのは、何故そうなるのかというところなのですが、一番単純に考えれば、中継機がMACアドレス変換を行なっていると推測出来ます。
つまり、WiFiルーター側から見れば、あくまで通信相手は中継機でしかなく、その先にどんなMACを持つ機械が繋がっているかは認識できなくなるのではないかと。

ということで、試しにarpコマンドで実験してみました。
WiFiルータに繋がっている端末A(192.168.11.4)から、同じくWiFiルーターに繋がっている端末B(192.168.11.2)にarpした時は、ちゃんとMACアドレスが引ける。


端末Bが中継機を経由して繋がっている時には、arpできない。

これがMACアドレス変換を行なっている直接的な証拠にはなりませんが、多分間違いないでしょう。そして何よりも、「arpが使えなくなる」という事実は大きな意味/影響を持つと思います。

【副作用を考える2~IEEE802.1x認証は使えない】
更には、商品ページにこんなことも書いてあります。
高度な認証(IEEE802.1x認証)を用いたネットワーク内では使用できません。
と。IEEE802.1x認証とは、RADIUS認証サーバーを建てるようなめちゃめちゃ複雑な認証の仕組みです。→参考ページ(Wikipedia)
この認証の仕組みの中にMACアドレスが絡んでくるのは自明。…ということで、IEEE802.1x認証が正常動作しなくなる根本的な理由は、MACアドレス変換にあるのではないかと思われます。

【副作用を考える3~その他の副作用はあるか?】
MACアドレスフィルタリングにしても、IEEE802.1x認証にしても、個人宅で導入している人はあまりいないと思うので、パーソナル用途を想定している本商品においてはややどうでもいい話であります。

気になるのは、その他の副作用があるかどうかなのですが、この辺についてはやや不透明。ただし、同じサブネットにいる端末に対してarpができなくなることによる影響は他にもあると考えるのが妥当でしょう。
ということで、いろいろ確認してみた結果を軽く報告しておきます。(詳細に検証した結果ではないので参考程度でお願いします)
機能 動作
プリンタの共有 正常動作
フォルダの共有 エクスプローラーから普通にやる「共有」です。
これは正常動作しました。
管理者共有によるファイル/フォルダの共有 WiFiルーター/中継機をまたいだ形では、管理者共有している共有ドライブにアクセスできなくなります。

ただし、よく分からないのは、絶対そうではないこと。しばらくはアクセスでき、そのファイルをクローズした途端、二度とアクセスできなくなったりします。もしかしたら機器間の相性だったりするのかも?

原因がよく分かりませんが、自分は普段、管理者共有を常用しているので、非常に困りますね。中継機を経由した途端、管理者共有しているファイルにアクセスできなくなる(可能性が非常に高い)のですから。

イマイチはっきりしませんが、そういうLAN環境である場合は中継機は使えないと思ったほうがよさそうです。なので、そういう場合は中継機ではなく、電波が強力なWiFiルータに買い換える事を考えた方が良いですね。

補足
…もっとも、管理者共有なんていう、他人には絶対おすすめできないやり方(セキュリティ的にかなり脆弱です)を続けている自分が一番いけないんですけどね…。

【副作用を考える4~副作用は無いと予想される部分】
逆に、副作用を考えなくても良いと確信できる部分はどこなのかというと、インターネットとの通信ですね。ネットに公開されているWebページを閲覧したりネット動画を見たりといった部分は、MACアドレスは関係ない世界のはずなので。そして実際、自分が使ってみた範囲においては問題は見つかりませんでした。


【どれぐらい役に立つか】
重箱の隅をつつくようなことを事ばかり書いてしまいましたが、普通の人が普通に使う分には全く問題ないはずです。非常に導入も簡単です。(WEPでWiFiルーターと自動的に繋いでくれますので、WEP対応のWiFiルーターならばあっという間に設定は終了します)

…ところで、どれぐらい電波の届く距離が長くなるのか、についてなのですが、感覚的には1.5倍ぐらいにはなるかな、という感じです。ただし、設置する場所については気をつかう必要がありますね。中継機をWiFiルーターのすぐ近くに置いてしまうと意味がなくなりますし、遠くに置き過ぎるとWiFiルーターの電波が届かなくなり中継ができなくなってしまいます。なので、無線LAN中継機の能力を最大限に引き出すには置き場所の吟味が大事だと思いました。

実際に、電波状況がどのように変わるかについては、非常に参考になるレビュー記事が出ていますのでそちらを参照していただければ分かりやすいのではないかと→モノフェローズ 無線LAN中継機 Logitec LAN-RPT01BK レビュー(静岡散歩)
無線LAN中継機の性格を理解した上で適切に使えば、劇的な効果が見込めるのではないかと。


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◆用語解説:リピータ(IT用語辞典)
◆用語解説:MACアドレスフィルタリング[MAC address filtering]( IT用語辞典)
◆用語解説:IEEE 802.1X(Wikipedia)