次は、日本語入力システムのインストールです。 WindowsではIME(古くはFEP)と言われるやつです。 Windowsの世界では、MS-IMEやATOKが有名ですが、Linuxの世界ではkinput2とCannaを組み合わせて日本語入力システムを構築するのが一般的のようです。もちろん、その他にも数多くの異なるシステムがありますが、Lindowsに初めからインストールされている日本語入力システムもkinput2とCannaでした。この組み合わせが一番伝統的なやり方のようです。 Linuxの世界はまだまだ英語中心の世界。日本語入力システムはまだまだ発展途上の状況なので、結構面倒な作業を強いられるのは筆者も何となくわかってはいたのですが、実際やってみると想像以上(^^;。ここまで手間取るとは思っていませんでした。 分かってしまえばさほど面倒な話ではないのですが、その手順を公開します。 【日本語入力システムのダウンロード&インストール】 root権限で以下のコマンドを実行。(非常に長いので、コピペして(apt-get~ttf-kochi-minchoまで)使うことをお勧めします)
うまくいっていれば、cannaserver(漢字変換を行う常駐タスク)が起動しているはずなので、確認してみます。
【kinput2をシステム起動時に起動するように登録&環境変数設定】 これで、日本語システム関係のインストールは終了ですが、これだけでは日本語入力ができません。 cannaserverが動いていても、cannaserverだけでは日本語入力ができません。cannaserverは日本語の変換機能を持っているだけで、アプリケーションとcannaseverとの通信を取り持つプログラム(ミドルウェア)が必要です。それがkinput2というプログラムです。 kinput2はインストールしただけでは勝手に起動するようにはなりませんので、システム起動時に自動起動するようにしておかなければなりません。 また、日本語入力システムがちゃんと動作するように各種環境変数も指定しないといけません。 方法は、いろいろあるようです。(例えば、init.dに登録するとか、.xsessionで実行させるとか) ですが、なぜかXandorosでは、.bash_profileに登録する方法しかうまくいきませんでした。(←後になって考えてみると、.bash_profileでしか登録できなかったのではなく、.bash_profile実行前に設定された情報が.bash_pfofileで上書きされてしまったせいという気もしますが。詳細は【後記】参照。) ① 一般ユーザでログオンし、テキストエディタ起動。 ② ~/.bash_profileをオープン ③ .bash_profileの、一番下の方(選択部分)を変更します。
④こんな感じ 【.qtrcファイルの設定】 さて、最後に.qtrcファイルの設定もしておきます。 .bash_profileを編集したときと同じ要領で、テキストエディタで「~/..qtrc」を開きます。 ↓オリジナルの~/.qt/qtrc
Generalセクションに、XIMInputStyle=Over The Spotを追加します。 (これをやっておかないと、コンソールでcannaを呼び出したときに日本語入力モードを示す小窓が表示されません)
これで設定終了。 一度ログオフして、再度ログオンしてください。 SHIFT+SPACEもしくはalt+漢字キー(通常、デフォルト状態ではalt+漢字は使えないはずなのですが、なぜか初めから使えるようになっていますネ)で日本語入力モードになるはずです。 ↑コンソール、テキストエディタ、OpenOffice(Write、Calc)、Firefoxで試してみました。全てのプログラムでalt+漢字が使えますネ。 【後記】 さて、とりあえず、これでほとんどのプログラムで日本語入力ができるはずです。 「ほとんど」と言っているのは、emacs用の設定はしていないので、少なくともemacsでは日本語入力はできないはずですし、それ以外にも特定のアプリケーションで日本語が入力できなかったり挙動が違ってしまう可能性は否定できません。 emacsに関しては、本手順を行った後に、set-language-envでウィザードに則って設定をしてあげればOKなはずです。(筆者はemacsを使う予定はないのでやっていませんが) それにしても、日本語入力システムのインストールは、想像以上に難航しました。 本当はさほど難しい話ではないはずで、kinput2とcannaをインストールして、set-language-envをすれば、とりあえずは起動するようになるはずだったんです。 それがなぜかうまくいかずに悩んでしまいました。 かなり後になってからわかったのですが、原因は.bash_profileにありました。 set-language-envを行うと、.bash_profileを日本語環境用に設定してくれるのですが、もともと.bash_profileに設定されている、 「export LOCPATH=/home/xanuser1/.rscp/locales-bin/」 という一行が何らかの悪影響を及ぼしているようで、日本語環境がうまくシステムに反映されていなかったようです。 多分これはXandros特有の現象で、他のディストリビューションではそのようなことにはならないのだと思います。 初めは掲示板やWebサイトで解決策を探したのですが、Xandros関連の情報は非常に少なく、結局自力で解決するしかない状況でした。 しょうがないので、Lindowsの設定を参考にしながらやってみたのですが、LindowsはLindowsで独自のやり方を取っており、/etc/X11/Xsession.d/フォルダで日本語環境の設定を行っています。 この方式のほうが、rootユーザでもスマートに日本語環境が作れるという意味で良い方法だと思うのですが、かといってそのやり方をXandrosで真似てもなぜかうまくいきませんでした(T_T)。 今回は運良く原因が分かり、set-language-envを使用せずに手作業で.bash_profileを編集することでなんとか解決できましたが、この辺の領域のツクリはディストリビュータ毎に判断が任されている部分であり、エンドユーザが手を出すべき領域ではないという感想を持ちました。一応、セオリーみたいなものはあるのですが、必ずしもセオリー通りのツクリになっているとは限らない。「詳細はディストリビュータのみぞ知る」という感じです。 特に日本語周りの設定は非常にデリケート。 「qtライブラリを使うプログラム用設定」、「X用設定」、「emacsのような直接日本語システムと通信するプログラム用設定」と、それぞれを別個に設定しなければなりません。 しかもその設定がDebian系とFedora系で違うのはもちろんのこと、使用するライブラリのバージョンや、cannaを呼び出すソフト側のバージョンでも違ってくるという、考え出すと気が遠くなるような組み合わせの数です。 なので、後から手順を見直すと明らかに不必要と思われる内容も入っているのですが、とにかく現状は安定動作させるのが先決という気がしますのでご勘弁を。 さて、とりあえずは日本語を使えるようになりましたが、まだまだ不完全。 OpenOfficeは日本語化されていませんし、Sambaも相変わらず日本語のファイル名が文字化けします。 細かいことを言えば、cannaのキー割り当ては、Windowsで一般的なMS-IMEやATOKと全く互換性がないので使いやすいキー割り当てにしたいですし、alt+漢字キーでcannaが呼び出せるならば、むしろSHIFT+SPACEキーは無効にしたいです。 その辺の細かい設定の話は次ページ以降で。 |