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2007/12/24

ウェブアートデザイナーの使い方

再編集用データの仕組み

ウェブアートデザイナー(もしくは略してWAD)の有り難いところは、再編集用データを保存しておけることです。つまり、後からロゴのテキストやイフェクトを変更していくらでも試行錯誤ができることです。
ただし、この辺の管理の仕組みがやや脆弱なので注意が必要です。ちょっとした拍子に再編集用データ(mifファイル)が参照できなくなってしまうことがあります。
せっかく作ったロゴや素材の再編集用データを失ってしまってはもったいなさ過ぎます。
ですので、なぜそういう現象が起こるのか、どうすれば復旧できるのか、を含め、再編集用データの管理の仕組みを解説しておきます。

mifファイルはどこにどのように保存されるか

例えば、ロゴ作成ツールで以下のようなロゴを作ったとします。
再編集可能ロゴ
この画像自体は、gifファイルで保存されますので、再編集(再イフェクト)不可能です。
ところが、ウェブアートデザイナーはgifファイルを作成すると同時に、mifファイルという独自形式のファイルと、制御情報としてXMLファイルを作成します。
それぞれの関係は以下のようになっています。(画像のファイル名が"Saihenshu.gif"だと仮定します)
ファイルの種類 意味 ファイル名 コメント
gifファイル Web公開用ファイル d:\temp\Saihenshu.gif
mifファイル 再編集用ファイル d:\temp\__HPB_Recycled\Saihenshu.mif __HPB_Recycledフォルダは、存在しなければ勝手に作られます。
XMLファイル 制御情報 d:\temp\__HPB_Recycled\HPB_Recycled.xml
gifファイルとmifファイルを対応付けているのはXMLファイルです。
XMLファイルの中身は以下のようになっています。

XMLファイルの中身(例)
<?xml version="1.0"?>
<RECYCLEDDATA>
<DATA type="MIF" src="KakuninDialog.jpg" size="10028" crc="1906212701" ref="KakuninDialog.mif" ref_size="13680" ref_crc="3715666583">
</DATA>
<DATA type="MIF" src="LogoSample.gif" size="5030" crc="1950298794" ref="LogoSample.mif" ref_size="36924" ref_crc="1806585037">
</DATA>
<DATA type="MIF" src="IllustSample.gif" size="751" crc="1360749161" ref="IllustSample.mif" ref_size="22031" ref_crc="877112325">
</DATA>
<DATA type="MIF" src="Saihenshu.gif" size="8027" crc="1884113930" ref="Saihenshu.mif" ref_size="62220" ref_crc="2519882989">
</DATA>
</RECYCLEDDATA>
赤字のところがそれです。この<DATA…で記述された部分が、Saihenshu.gifとSaihenshu.mifの繋がりを記述していることは一目瞭然でしょう。実際、このデータ項目をテキストエディタ等で削除すると、当該のgifファイルは、単純なgifファイルとしてしか(再編集データがない画像データとしてしか)扱われなくなってしまいます。

なぜ再編集データがなくなるのか?

さて、このような仕組みでmifファイルが自動管理されているので、普通は再編集データがなくなってしまうということはないはずなのですが、現実は再編集データがなくなってしまって(繋がりが切れてしまって)不便な思いをすることもままあります。
どうしてそういうことが起こるのか。
それはこの仕組みを考えればだいたい予想はつくのではないでしょうか。
例えば、エクスプローラなどでgifファイルの名前を変更してしまったり、gifファイルを他のフォルダに移してしまったら、当然再編集データが探せなくなるのは、道理なわけです。
また、gifファイルをHPB上ではなく、他の画像編集ソフトで編集してしまってもダメです。←XMLのデータ項目に"crc"があることからも分かるとおり、CRCで画像データの正当性をチェックしているのではないかと推測されます。CRCが合わないと繋がりを切ってしまうようです。

再編集データがなくなってしまった場合の対処法

とは言っても、mifファイルが削除されるわけではないので、そう言う時にはあわてず騒がず、まず、"__HPB_Recycled"フォルダの中を探してみることをおすすめします。普通は同じファイル名(拡張子は除く)になっているはずですから、それを直接ウェブアートデザイナーに読み込んで、テキストを変更したりイフェクトの種類を変更したりといったことが可能です。

ちょっと気難しいウェブアートデザイナー

このように、若干気難しいところもあるウェブアートデザイナー。
繋がりが切れてしまった場合も極力自動修復を試みたり、手動で修復できるようなっていたりするともっと使い勝手がいいのですがね〜。

ウェブアートデザイナーについて、その他の注意事項

悪い意味でも初心者向け

ウェブアートデザイナーは、基本的に初心者向けのツールです。
初心者だけに使わせておくのはもったいない非常に高機能なツールだとは思うのですが、案外ごく基本的な機能がないのが非常に残念。
例えば、ドット単位で正確に範囲選択することが非常に困難だったり、レイヤーの概念がないばかりか、範囲選択という概念さえないです。←ウェブアートデザイナーの範囲選択というのは、あくまで切り取る領域の指定であり、例えばその範囲だけにモザイク処理などを掛けたい場合は、切り取って(別のオブジェクトにして)からでないと不可能です。
この辺のつくりが、非常にアンバランスで理解しがたいところなのですが、やはりこれは初心者がよくつかう機能だけを手軽に使えるように、という配慮なのでしょう。
新しくロゴを作ったり、素材集を組み合わせて自分の好みのデザインを新しく作る、的な作業は非常に快適にできるウェブアートデザイナー。
一方で、例えばデジカメで撮った画像などの、既存のgifファイルに単純な加工を施すという、本来それよりもよっぽど簡単なはずの処理が非常に面倒なウェブアートデザイナー。
それだけに、私は普段、ウェブアートデザイナーを写真の加工の用途では使用していません。フリーのレタッチソフトを使っていますが、それはそれで二つのソフトを行き来しなければいけないという手間がかかるので、やっぱり理想はウェブアートデザイナーでできれば一番能率的。
また、それが技術的に難しい話ではないはずなだけに、この問題がずっと放置されているのが本当に惜しい気がします。

再編集用データの運用性に問題は残る

ウェブアートデザイナーの再編集用データは独自形式です。ウェブアートデザイナー以外では扱うことができない形式になっています。
これがもし、Adobe(アドビ)Illustrator(イラストレーター)形式やWMF(Windowsメタファイル)形式などで読み書きできるようになっていれば、より利用シーンが広がりますし、将来的に他のホームページ作成ソフトに移行した時にも、再編集データを使えるわけで非常に便利なんですがね〜。
そこまで望むのは酷でしょうか。

WADは「デザイン資産」を残すためのソフト?

さて、随分WAD(ウェブアートデザイナー)についてのウンチクが長くなってしまいましたが、結局、自分がウェブアートデザイナーを使っていて一番ありがたいと思うのは何か?
それは、やっぱり「デザイン資産」を残すことができる、というところですね。
ロゴ、壁紙ぐらいならば、ホームページビルダーに用意されている素材をそのまま使ったり、多少パラメータを変更したりして短時間で作り出すことも可能ですが、説明用のスライド的なイラストなどを作り出すと、ごく簡単なものでも1時間ぐらいは余裕でかかってしまいます。
これが、gifというスティックな情報としてではなく、mifファイルという再構成可能なデータとして残るので、似たようなイラストを作成する時にも過去に作ったものを部品単位で流用できるのです。
正直、イラストなんてそうそう作っていられません。
ですが、物事をキチンと分かりやすく説明するためには、やっぱり2Dの情報があるかないかで天地の違いがあります。そういうところにこだわってこそ、ブランディングも可能というものです。
ですので、たかがイラスト、されどイラストなんです。このイラスト作成の労力が軽減されるというのが、なによりも自分的にはありがたいのです。
もちろん、ベクターグラフィックで残すという目的であるならば、IllustratorやVISIOのようなソフトを使うほうがより洗練されている方法なのかも知れませんが、あくまでホームページに掲載する目的で作成するので、ホームページビルダーの中で作成できてしまうというのが大きいですね。

2008/06/16
最近、WADのかわりにInkscapeを使っている自分。
WADにはないいろいろな利便性があります。結構オススメ。参考→●Inkscape(インクスケープ)の紹介