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2008/06/16

Inkscapeとは

アフィリエイトに直接絡むツールではないのだが…

Inkscape(インクスケープ)」。
これは、何をするためのソフトかというと、ベクターグラフィックを作成するためのソフトです。分かりやすく言えば、Adobe Illustratorのようなソフトです。ただし、Inkscapeはフリーソフト。つまり全く無料で使えますので、有り難く使わせて頂いています。(紹介ページ→ベクトル画像を作成できるフリーの多機能ドローソフトInkscape)
ちなみに、本サイトで使っている図やイラストの類は基本的に全てInkscapeで作成しています。

なぜ、Inkscapeを紹介するのか?

…と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。
確かに、アフィリエイトに直接絡むツールではないのですが、個人的にはアフィリエイトページを作成する上で必須なツールだったりするので、あくまで参考として紹介しておきます。
なぜInkscapeが必要なのかというと、物事を簡潔に説明するために、図やイラストが必要になることが多いからです。そして、簡潔さ/分かりやすさを追求することは、私は大事なブランディングの一つだと思っているのでないがしろにできないからです。
始めは、IBM Homepage BuilderのWeb Art Designer(ウェブアートデザイナー)を使っていました。ところがしばらく使っているとどうも不便なところが目立ってきてしまいました。
まあ、それでも決して悪くないのですが、自分で作成したものが後から再利用しにくかったり、勝手にウェブアートデザイナーの編集情報のリンクが切られてしまったりと、管理が結構めんどくさい。
ウェブアートデザイナーも基本はベクターグラフィックソフトなので、あとから部品単位で再利用することも可能ではあるのですが、数が多くなってくると、一元的に管理するのが非常に面倒になってきて、最悪、目的の部品がどこにあるのか分からなくなってしまうというようなこともなきにしもあらず。もちろん、いろいろ工夫をすれば不可能ではありませんが、どうもイマイチしっくり来ない。ということで、WADに変わるソフトはないものかと思っていろいろその手のソフトを試してみたところ、Inkscapeが使い勝手的にも、Webページとの親和性という意味でも、非常に向いたソフトに思えたので。
実際使ってみると、なかなか優秀なソフトで、すっかりInkscapeに惚れ込んでしまいました。
具体的にInkscapeのどこが良いのかというと…

Inkscapeの良いところ

その1〜SVG形式である

Inkscapeは、SVG(Scalable Vector Graphics)というベクターグラフィックの標準規格で情報を保存します。
標準規格ですから、Inkscapeで作成したファイルをそのまま他のソフトに読み込ませることもできます。例えば、IllustratorもSVGに対応しています。代表的なベクターグラフィックソフトはまず間違いなく対応しています(とは言っても、互換性がどの程度保たれているかは疑問の余地は残りますが)。
また、SVGはXMLの一種なので、原理的にはHTMLに直接埋め込んでWebブラウザでレンダリングすることも可能です。(とは言っても、この辺はまだまだ完全に対応できていませんが)。
いずれにせよ、将来的にいろいろな活用が期待できるSVGなので、IBM Homepage Builderに縛られてしまうWADよりはずっと安心して使えます。

その2〜使い方が分かりやすい

その昔、私はAdobe Illustratorにチャレンジしてみたことがあります。ところが、挫折してしまいました。なぜかというと、非常に使い方が難しいからです。
ベクターグラフィックの世界はいわゆるベジエ曲線などをうまく使えないと、なかなか思った通りの作図ができません。このベジエ曲線の扱い方が難しく、かつソフト自体も非常にプロフェッショナル向けのUIで、「操作を知らないと何も出来ない」ことが多いのです。
また、もともとIllustratorはMacintoshの土壌で育ったソフトですので、作法がWindowsアプリケーションとは随分違うのも分かりにくさに拍車を掛けてしまいました。Windowsだと、分からなければ右クリックすれば、操作可能な一覧が出てくるので、試行錯誤すれば何とかなってしまいます。ところが、Illustratorの場合はそうは問屋が卸さないんです。そこで何をすればいいのか、何が出来るのかを始めから知っていないと後にも先にも進めないんです。しょうがないので、書店で指南書を1冊買ってきましたが、なかなか操作を覚えられず、いつまで経ってもその本なしで操作できるまで上達しませんでした。
自分が未熟だったせいもありますが、そんなこんなで結局、Illustratorは使わなくなってしまいました。
ところが、Inkscapeはそうではありませんでした。非常に親切なガイドがウィンドウのステータスバーに逐一出るので、何をすればどうなるのかが(そして何ができるのか)が分かります。
全くの素人の自分でも、始めは意図した通りにはならなくても、とりあえず出来ること一通り試してみれば、どうなるのかが分かります。
「ああ、こんな風になるんだ」とか「こんなこともできるんだ」みたいなことを教わりながら、いろいろいじくり回している間に、いつの間にか一通りは使えるようになってしまいました。

↑こんな風に説明してくれます(全文が表示されていないときには、その文にマウスカーソルを持って行くと全て表示されます)。これを見れば、ノートハンドルをドラッグ/alg+ドラッグ/矢印キーなどを使うと何かが起こるんだ、ということは少なくとも分かりますのでやってみればどうなるのかは一目瞭然です。このような説明が、何か操作をするごとにリアルタイムに更新されます。

Adobe Illustratorの時のように、書籍を買う必要は一切ありませんでした。Webで公開されているInkscapeの使い方解説ページの類もほとんど見る必要がなかったぐらいです。
イラストレーターやデザイナーから見れば、Inkscapeはまだまだ機能的に不足しているのかも知れませんし、そもそもソフトウェアのバージョンも1.0に達していないソフトなので、機能的にも安定性的にもまだまだ未熟なソフトに見えるかも知れません。ですが、少なくとも自分にとってはIllustratorよりずっと使いやすいソフトだと思いました。

その3〜サンプルが多い

もう一つ、Inkscapeにした大きな理由に、サンプルの多さがあります。
別に、自分は芸術作品やオリジナル作品を作りたいわけではなく、説明用のスライド的なものを作りたいわけで、ありがちな図やイラストがあればそれを必要な部分だけを取り込んで使いたいです。そして、それができるのがペイント系にはないベクター系の良さです。ですので、サンプル画像(しかもライセンスフリーな)がたくさんあれば非常に助かります。
その点も、Inkscapeは抜かりなし。「Open Clip Art Library」というプロジェクトがありまして、そこで現在7,000点近くのライセンスフリーなイラスト集が公開されています。→Open Clip Art Library Drawing Together(イラスト素材集をダウンロードする場合はこちら→Open Clip Art Library Downloads)
これらは、全てSVG形式で作成されているので、Inkscapeにそのまま取り込むことができます。
Homepage Builderもサンプルは結構始めからたくさん付いており、結構重宝しましたが、さすがにこれほど充実はしていません。
もちろん、これで十分な量とは言えません。また、やや凝り過ぎのイラストばかりで、ベーシックなシンボル類、アイコン類、標識類が案外少ないので「汎用性」に関しては疑問はなきにしもあらずですが、それなりに役に立ちます。というか、自分は思いっきり活用させてもらっています。

その4〜キーアサインの変更が自由にできる

これは個人的にはすごいメリット。キーアサイン(ショートカット)を独自に変更できます。
例えば、Illustratorはごく限られたキーアサインのセットは選ぶことはできるらしいですが、基本的にキーアサインの変更はできませんからね。
別に自分は、ベクターグラフィックのプロではないので、Inkscapeの独特なキーアサインをいちいち覚えたくないです、正直。できれば、普段よく使うソフトやWindowsアプリケーションの一般的なキーアサインに合わせたいです。
キーアサインの独自変更は、基本的にInkscapeとしては正式にサポートしていませんが、設定ファイルをテキストエディタで直接編集することで可能です。
ですので、あまり大規模なキーアサインの変更は結構たいへんではありますが、やっぱりできるのと出来ないのとでは大違いです。参考→Inkscapeのショートカットのカスタマイズについて

Inkscapeの悪いところ

一応、Inkscapeの悪いところ、不便なところ、注意点なども書いておきます。

その1〜まだまだ開発途上

現在のバージョンは、0.46です。つまり、まだまだ開発途上のソフトウェアです。
実際使ってみると「あれ? おかしいな?」ということが確かにあります。
例えば、指定したはずのイフェクトが反映されなかったり(読み込み直すと直ったり)、指定したはずのグラデーションパターンがいつの間にか消えてしまっていたりすることがあります(その中には、単に自分が使い方を間違っているものも混ざっているかもしれませんが)。
まあ、とは言っても、致命的というほどではありません。極端な話慣れの問題です。少なくとも、突然ソフトウェアがHaltしてしまったり無反応になってしまうなどの、どうしようもない大バグはとりあえず見あたりませんので、特別問題とは感じません。十分使い物になるレベルだと思います。

その2〜Illustratorよりは機能は低い

まあ、これは当然と言えば当然。
自分的には機能が多すぎるぐらいで、ぜんぜん使いこなせていませんが、やっぱりプロはIllustratorでしょう。ソフトウェア本体の機能もさることながら、Illustrator用のプラグインが使えないのはプロにとっては致命傷になりかねないです。