Partition Savingで行うシステムバックアップ その5
〜TIPS・まとめ〜

Volume076:2006年5月3日(水)

Partition Savingの最終回です。
最後に、手順の中で紹介しきれなかった部分や、使いこなしのコツ(TIPS)をまとめましたので参考まで。


【TIPS1 ファイル名の自動命名機能(automatic_namingオプション)】

Partition Savingでバックアップやリカバリを行う際、ファイルが分割されるときには、次のファイル名を1つ1つ入力し直さなければなりません。
これは枚数が多くなってくると大変です。
そこでautomatic_namingオプションを指定して起動すると便利です。
このオプションをコンフィグファイルに記述しておき、起動時に読み込ませることにより可能です。→サンプルファイル(http://www.sd-dream.com/toolinside/image/autoname.lzh)
↓Partition Savingを起動すると、
Automatic namingにチェック[X]が付きます。



【TIPS2 fdiskの利用】

今回、パーティションの作成にWindows XPのセットアップ起動ディスクを使用しましたが、もちろん、パーティションの作成にはfdisk.exeを使用するという方法もあります。
fdiskならば、Partition SavingのDOS起動フロッピーの中に入れておくこともできるので、必要なフロッピーは1枚で済みます。
あえて今回その方法をとらなかったのは、お使いのWindowsのバージョンによっては、fdiskが入手不可能なケースもあるからです。
Windows95/98等の16ビットWindowsをお使いの方は、もともとfdisk.exeプログラムがインストールされていますので、それを利用する方がよりスマートです。


【TIPS3 CDからブートさせるには?】

今回紹介した手順は、FDDがある環境を前提としています。
とは言え、ノートPCはもとより、デスクトップでもFDDがないパソコンが多くなっていますので、やはりフロッピーディスクが必須というのは、将来的に不安です。
FDDではなく、CD(一般的なATAPIドライブ)からブート出来ないのかというと、(環境さえ整えることができれば)可能です。

方法1:CD/DVD焼き込みソフトのブータブルCD作成機能を利用

例えば、B's Recorder Gold7では、ブート可能なFDがあれば、そこからブータブルCDを作成する機能があります。最近のCD/DVD書き込みソフトには同様の機能が大抵装備されていますので、それを利用すれば、さほど難しい話ではないです。
ただ、最初の作成時に起動可能なフロッピーディスクが必要になってしまうのが弱点。
一応、Virtual Floppy Drive(http://chitchat.at.infoseek.co.jp/vmware/vfdj.html)なる、FDDを仮想化するソフトもありますが、今回のような用途に使えるかどうかは未確認です。


方法2:FreeDOSを利用する

全くフロッピーディスクを使用しない方法として、FreeDOS(http://www.freedos.org/)を利用するという手があります。
FreeDOSは標準的にCDからのブートをサポートしており、FreeDOSのサイトからISO形式のファイルをダウンロードしてきて、ISO形式のファイル書き込みに対応したCD/DVD書き込みソフト(最近のものはほぼ間違いなく対応しています)で焼けばあっという間にCDからブートするDOS互換環境の完成です。
また、FreeDOSはほとんどフルセットのDOS互換環境なので、そのCD1枚あればfdiskをはじめとした多くの拡張コマンドも実行できます。
良いことづくめのFreeDOSではありますが、ただ一点、CDをマウントできないところが欠点です(現在、かなり動作が不安定な試験的なATAPIドライバがあるのみで、正直実用に耐えない)。
これはどういうことかというと、CDを仮想的なフロッピーディスクとしてしか使用できないので、例えば、Partition SavingでバックアップしたファイルをCDに焼いて保存しておき、そのCDからリカバリを行うということができないのが最大の弱点。
一方、DOSは環境さえ整えれば、そういうことができます。(詳しくはTIPS4参照)


【TIPS4 CDに焼いたバックアップイメージを読み込むには?】

今回は、ハードディスクに保存したバックアップファイルからリカバリを行ったのですが、CD-R等に保存したバックアップイメージを読み込みたいという要望もあるでしょう。
これを実現するには、DOSでCDを使用できるようにしなければなりません。つまりは、DOSにCDドライブのデバイスドライバを組み込まなければなりません。
このデバイスドライバをどこから入手するかというのが問題。
WindowsXP(恐らくWindows2000も)はDOSの16ビットドライバを一切使っていないので、それらのドライバは収録されていません。これでは手も足も出ません(T_T)。
既に発売されていないWindows95や98のパッケージを入手するというのも非現実的な話です。
そういう意味で、汎用的な手順を提示できませんので、一応参考までにその方法のヒントを提示しておきます。

方法1:16ビットウィンドウズのインストーラ起動FDを利用する。

Windows95/98/98SE(恐らくMeも)のパッケージをお持ちの際には、インストーラ起動FDを使う手が一番手軽です。

↓こういうフロッピーディスク(Windows98SEの場合)


CDドライブのドライバはもとより、ドライバを組み込むためのconfig.sys、autoexec.batも組み込み済みですので、そのまま使用できます。
ちなみに、fdisk.exeも入ってますので、これ一枚あれば全てOKですので、一番楽です。
ちなみに、筆者の実験した限りでは、左写真のフロッピーディスクと、B's RecorderGold7を使い、ブータブルCDを作成することが確認できました。このCD1枚あれば、TIPS2,3,4をまとめて解決してくれますので非常に便利です。

方法2:メーカー製PCのリカバリCD/DVDを利用する

ものによりますが、リカバリCDは当然ブータブルCDであり、そのほとんどはDOSでブートします。ですので、それで使われているデバイスドライバを利用するという手もあります。
運が良ければ、fdisk.exeも入っているかもしれません。

方法3:独自にブータブルCDを作成する機能を持つCD/DVDライティングソフトを利用する

例えば、B's Recorder Gold7は、ブートするFDがなくても独自にブータブルCDを作成する機能があります。
これはどういう仕組みになっているかというと、いわゆる機器組込用DOS(B's〜の場合はDatalight社のROM-DOS)のイメージを使用してブータブルCDを作成します。
CDドライブもちゃんとマウントしてくれますし、非常に便利なのですが、MS-DOSとの互換性があまり高くないせいなのか、Partition Savingでバックアップファイルを読み込もうとするとエラーが発生してしまいます。↓

※なぜか、CDメディアに書いたバックアップファイルを読み込もうとしたときだけ、エラーになってしまいます。
HDDに保存したファイルはOK。
ほとんどB's〜しか使ったことがないので、現在のところこれ以外に独自のブータブルCDを作成可能なソフトを知りませんが、念のためお持ちのライティングソフトを確認してみることをおすすめします。


【まとめ】

最後に全体的な感想です。
予想を遙かに上回るソフトでした。バックアップファイルの小ささ、リカバリ処理の速さははっきり言って商用ソフトにひけをとらないでしょう。
商用ソフトに比べると確かに不便なところはあります。一番不便なところは、外部メディアに書き出せないことだと思います。
また、ある程度パーティションやファイルシステムに関する知識がないと使い方が難しいかも知れません。
ですが、むしろこちらの方が使いやすいところもあります。特に、バックアップする項目を選択的/明示的に指定できるのがいいです。
この手のソフトを使う際、単一のシステムをバックアップするには簡単なのですが、例えばマルチブートの環境をOS毎にバックアップしようとすると事情が非常に複雑になってきます。はっきり言って、商用ソフトは簡単さを優先するあまり、そこまでマニアックな用途には不向きです。
例えば、操作がどこからどこまでのバックアップなのかが不明確だったりします(パーティションテーブルも含むバックアップなのかパーティションのデータだけなのか、リカバリ時にパーティションサイズを変更できるのかそうでないのかなど)。
そもそも、「ドライブ」と「パーティション」という2つの概念だけで物事を説明してしまっているのが原因のような気がしますが、であるがゆえに「靴の裏から足の裏をかく」ような歯がゆい思いをしたことは一度や二度ではありません。
それに比べると、Partition Savingの操作は"element"単位なので、一つ一つの操作が明確で安心感があります。
自分のバックアップしたいところだけをバックアップし、リカバリしたいところだけを確実にリカバリできるPartition Savingは、複雑な環境をバックアップする際には商用ソフトよりむしろ使いやすく間違いがないという印象を持ちました。
ただ問題は、フリーソフトですから、例えばマイナーなチップセットのマシンの場合でもOKなのかとか、SATAディスクは大丈夫なのかとか、いろいろ未知の部分は多いです。
そういう面では、やはり商用ソフトに比べると不安な面があるのも否めませんが、個人的な環境のバックアップや引っ越し用途ならば「十分使い物になる」ソフトだと思いますよ。


●関連リンク●

↓FreeDOS
http://www.freedos.org/
↓Virtual Floppy Drive
http://chitchat.at.infoseek.co.jp/vmware/vfdj.html
↓Partition Savingダウンロードページ(本家)
http://www.partition-saving.com/en/index_frame.html
↓Partition Savingダウンロードページ(英語が苦手な方はこちらから)
http://www.altech-ads.com/product/10000137.htm
↓Partition Savingの使用例
http://j7p.net/backup/howto_savepart.html