Grani(グラニ)
〜Sleipnir2の入門者向けバージョン〜

Volume071:2006年4月14日(金)
Grani(グラニ)という、聞き慣れないブラウザが登場しました。
聞き慣れないものの、このブラウザはSleipnir2をベースにしたブラウザで、開発元のFenrirによれば、Graniは「プロフェッショナル向けWebブラウザ「Sleipnir」のエントリーモデル」とのことです。

具体的にどうエントリーモデルなのかというと、普段IEを使っている方がタブブラウザに移行しやすくするために、インストールを簡単にして、機能も主要なものに絞った形のブラウザです。
それではどういう機能が削られているのかというと、かなり上級者向けの機能だけ削られていて、カスタマイズ関連や検索機能などはフルスペックに見えます。
Sleipnir2とGraniの違いについての概要は、
http://www.forest.impress.co.jp/article/2006/04/12/grani.html
を参照して頂きたいのですが、実際インストールしてみると、確かにSleipnir2よりインストールは簡単。(もちろん、Sleipnir2のインストールも決して難しいとは思いませんが)
機能に関しては、厳密に比較したわけではないですが、少なくとも普段筆者が利用しているSleipnir2の機能でGraniに不足しているのは、スクリプトを組み込む機能と、ツールバーの位置を変更する機能ぐらいなものでした。
それに関しても、不満が出てきたらSleipnirに乗り換えればいいだけの話なので、あまり問題ではないと思いますし。


【IEとお気に入りを共有するGrani】

ところで、Graniは単なる機能削減バージョンではなく、Sleipnirと全く仕組みが違うところもあります。
それは、お気に入りです。
Sleipnirは独自形式のお気に入りを使っているのに対し、GraniはIEのお気に入りを流用するようになっています(内部的な話をすると、Favorite.ffvを持たない)。もちろん、Graniでお気に入りを編集/削除をしたときにも、IEにリアルタイムに反映されるわけです。
これは英断でしょう。
私自身、IEからタブブラウザに乗り換えて以来、ずっとIEのお気に入りとタブブラウザのそれとが別管理になってしまうのはとても不便だと思い続けていました。確かに、IEのお気に入りにはない機能拡張がされているなどの利点はあるのですが、少なくとも大多数のユーザは(自分も含めてですが)IEのそれで十分だと思います。
もちろん、手動で同期をとることは不可能ではありませんが、いつの間にかそれがおろそかになり、結局どっちのお気に入りが最新か分からなくなってしまって収集がつかなくなります。(^^;
そういう煩わしさも原因の一つになり、筆者はお気に入りの管理はネット上でソーシャルブックマークを主体に行うようになってしまったので、今ではローカルのお気に入りはもうどうでもよくなってしまったのですが(^^;、こういうやり方はそれこそ初心者向きではないでしょう。
そういう煩わしさがないところは、Sleipnirに比べるとずっと使いやすい感じがします。Sleipnirに逆輸入して欲しいぐらいですね。


【Graniは初心者向きか?】

とは言え、Graniは「初心者向き」と言えるほどSleipnirと明確に方向性が違うかというと、現状では共通部分の方が遙かに多く、使い勝手はほとんどSleipnirです。
Graniの存在意義を否定するわけではありませんが、そもそもSleipnirが初心者にとってそれほど敷居が高いブラウザだとは思いません。
例えばFirefoxのような難解(特にExtensionが)なWebブラウザならまだしも、Sleipnirぐらい簡単にインストールできて、かつ安定しているブラウザならば初心者でもさほど敷居は高くない気がします。
あくまで個人的な感想ですが、GraniはSleipnirとの機能差が少ないこともあり、むしろ十分高度な使用にも耐えられる、Sleipnir2のstableバージョン(試験的な要素を含まないバージョン)という感じさえします。

…もちろん、初心者向けのWebブラウザという考え方は素晴らしいと思います。非常に興味深い試みだと思います。ですので、どうせなら初心者にもっと特化していいと思います。
それこそタブの使い方や検索の仕方をウィザードやバルーンで支援するぐらい特化してほしいです。
"Slipnirライト"みたいな名前ではなく、ブラウザ名を違えてリリースするGraniですから、今後独自の進化をしていくのだと期待します。


●関連リンク●

↓Graniダウンロードページ
http://grani.tabbrowser.jp/