Visual Web Developer 2005 Express Edition
〜「ホームページ作成ソフト」として検証した場合〜

Volume066:2006年3月8日(水)

【前置き〜Visual Studio 2005について】
Visual Studio 2005(以降、VS2005と略)は、Windows上のアプリケーション開発ツールとして圧倒的なシェアを誇る、マイクロソフトのVisual Studio(ビジュアルスタジオ)シリーズの最新版です。
Visual Web Developerは、この一連の製品群の中の一つですが、今回のVS2005は、無料配布版が存在します。
それぞれの製品に、Express Editionという名前の付いたもので、製品版と比べると多少機能制限はあるらしいのですが、よっぽどプロフェッショナルな使い方をしない限り関係ない程度の制限しかなく、「大抵の開発はこれで十分でしょう」と思われるほどの充実ぶり。
もともと、プロ向けのソフトウェアであることもあり、かなり高価なソフトウェアだったVSシリーズですが、突然無料配布された理由は、Linuxに対抗する意味合いがあったと推察されます。とはいえ、これほど思い切った行動に出るとは思っていなかっただけに驚き。


【Visual Web Developerとは】

その中にあって、Visual Web Developerは、アプリ開発をしない方にとっても使いでのあるソフトです。
本来、Visual Web DeveloperはWebアプリケーション開発ツールです。具体的に言うと、HTMLページにCGIやASP等のプログラムを組み込んで、ショッピングサイトのようなダイナミックなページをつくるためのソフトです。
つまり、「誰でもカンタン! HTMLを知らなくてもオシャレなサイトが作れます!」的なノリのソフトではありません(^^;
ですので、ある程度の慣れは必要ですが、普通のホームページをつくるソフトとしても使えないわけではありません。
ちなみに、今号のツールインサイド(HTML版)は、Web Developerで作成してみました。↓

ざっと使ってみた感じでは、悪くはない感じです。無料で使えることを考えれば、Web作成ソフトをお持ちでない方にとっては、一つの選択枝になりうると思います。
特に、開発ツールであるだけに、HTMLソースエディタは非常にパワフル。はっきり言って次元が違います。


【強力なHTMLソースエディタ】

例えば、

・対になるタグは強調表示してくれる。(この例では<FONT>タグ)



・更新行を黄色、保存済みの行を緑色に色分けしてくれる。



・リアルタイムに文法チェックを行って警告を出してくれる。



・タグを打ち込むと補完候補を表示。



・タグを打ち込むと自動的に対応する終了タグも入力される。


などなど、至れり尽くせりです。

【キーアサインの変更が自由】

これもなかなか特筆すべき利点でしょう。
キーアサインの変更画面はお世辞にも使いやすいとは言えません。機能名の説明がない、見通しが悪いなどの難点はありますが、出来ないよりは遙かにまし。


【気になることも…】

今回、Windows XP Professional SP2の環境にインストールしたのですが、いくつか気になった部分もありますので参考まで。

・デザイン画面のおかしな挙動

今回のようなかなり単純なページの作成でさえも、不思議な挙動が見られました。
例えば、Enterを押して、改行(<br />タグ)を挿入したタイミングで、なぜか行が複製されてしまったり、セーブしたはずの画面がなぜかセーブ前の状態に戻っていたりといった現象が起こりました。
その原因を解明する前になぜか現象が収まってしまったのですが、どうやら、他のソフトで作成したHTMLファイルをWeb Developerに読み込ませるとおかしなことになりがちな感じがします。
ただ、いくら無料版とはいえ、すぐ発覚するようなこういう基本的なバグを含んだソフトウェアを、マイクロソフトともあろうお方がリリースするとは考えにくいです。非常にまれな現象なのか、もしくは、Web Developerがプログラミング要素が全くないスタティックなページを作成することを想定していないせいなのかも??

・詳細モード時のカーソルの動きが変

デザイン画面で、詳細モード(</ br>等の制御コードを画面に表示するモード)で編集をしていると、なぜか</ br>の直前でカーソルが動かなくなる(</ br>をまたげなくなる)ことがあります。
これは再現性があります。例えば、</ br>の直前まで文字列を選択し、<strong>等の文字修飾をかけた際に発生します。
対策としては、一度、</ br>を削除して入力し直すか、選択するときに</ br>も含めて修飾をかけるとそのような現象は起こらないようです。


【全体的な感想】

かなり高機能であるものの、「フェラーリで駅前商店街に買い物に行く」的不便さはあります。
また、信じられないことに「このリンク先をオープン(編集)」という機能がないのはかなり不便です。前述のバグめいたおかしな挙動も含めて、「まだまだ作り込みが足りないのかな?」という気はしないでもないです。
個人的には、それらのデメリットを差し引いても、キーアサインを変更できる魅力はかなり大きいです。実際、筆者も「やっぱりこうじゃなきゃいけないよね〜」なんて言いながら、キーアサインを変更しまくって自己満足に浸ってしまったクチなんですが(^^;、冷静に考えると、やはりそこはプログラムを開発するためのツールです。
見栄えのいいWebページを作成する上でほとんど必須と言っていい、スタイルシートのテンプレートや、GIFエディタ/アニメーションGIF作成ツール/ホットスポットエディタ等々の周辺ツールは付いていませんので、それら統合型のホームページ作成ソフトに比べるとそれなりに分かっている人ではないと難しい印象があるのはしょうがないところでしょう。
逆にいうと、ホームページ作成のノウハウはだいたい知っていて、今お使いのホームページ作成ソフトでは飽き足らない方にとっては、非常にパワフルなツールになるかもしれません。


●関連リンク●

↓Visual Studio 2005 Express Editionダウンロードページ
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/express/
↓「Visual Studio 2005 Express Edition」日本語正式版の一般向け無償公開開始
http://www.forest.impress.co.jp/article/2005/12/16/visualstudioex.html