OpenOffice.org2.0
〜新世代のOpenOffice〜

Volume059:2006年1月11日(水)

過去にOpenOfficeを取り上げましたが、昨年10月にOpenOffice.org2.0(以降、OOo2)が正式リリースとなりましたので、遅ればせながら紹介。
※「OpenOfficeって何?」という方は、Volume017(http://www.sd-dream.com/toolinside/vol017.html)も併せてご覧ください。

【OOo2のスタンス】

OOo2は1.Xの後継バージョンという位置付けではあるものの、中身は必ずしも1.Xのバージョンアップ版ではなく、途中で枝分かれしたバージョンです。
OOo2では採用を見送られた機能や、設計が変更された部分も少なくないので、1.Xユーザーの目から見ると必ずしも良いことばかりではないのですが、両者では開発スタンスが違うと理解するべきでしょう。
簡単に言えば、OOo2は次のステージを目指したと思われます。やっぱり統合オフィスソフトウェアとして見た場合、デファクトスタンダードであるMSOfficeとの互換性は避けて通れない道。OOo1.Xではうまく達成できなかった互換性問題をクリアすべく投入された新世代バージョンという気がします。
その一つが、OpenDocumentへの取り組みです。


【OpenDocumentとは】

OOo2が作成するファイル形式は、OpenDocument形式が標準となりました。
OpenDocumentとは、最近OASYS(XML関連の標準化団体)で策定された、ビジネス文書の国際的統一フォーマットです。
規格自体が新しいので、対応したアプリケーションがまだまだ少なく、なによりもMicrosoftがOpenDocumentに対して必ずしも肯定的ではないので、正直なところどうなるかは全くわかりません。
とは言え、クローズドなMSOfficeファイル形式に対してOOo側から一方的に互換性を確保するのは原理的に困難なのは事実ですし、実際さほど互換性が高いとは思えないので、やっぱりこのような根本的な解決策が望まれます。
HTMLやPDFの例をあげるまでもなく、オープンな文書フォーマットが世の中に広まることはMicrosoftにとってもメリットの方が大きい時代になっていると思いますので、今後に期待と言うところでしょうか。


【MSOffice形式との互換性】

OOo2はOpenDocumentというアプローチとは別に、MSOffice形式のファイル互換性も高めてはいます。
例えば、Calcでは、65,536行までOKになりました。(Excelと同等)
また、MSOfficeのオートシェイプと互換性のある新しいカスタムシェイプが導入されたり、Writeでは、Wordと同様に表を入れ子にすることができるようになりました。
(詳細はこちら→http://ja.openoffice.org/www/dev_docs/features/2.0/
ですが、やはりまだまだと言わざるを得ません。もちろん、1.Xに比べるとかなり改善はされたと思いますが、極端な話「中身がわかる」程度の互換性だと思っていた方がいいと思います。複雑なドキュメントを、細かい書式等も含めて正確に再現されるかと言ったら、期待しない方がいいです。(T_T)

この辺の取り組みについてはまだまだ始まったばかりと言っていいでしょう。
もうちょっと長い目で見なければいけないでしょう。


【BASEが標準装備】

OOo1.XではなかったBASE(データベースソフト)が標準装備になりました。MSOfficeで言えばAccessです。
BASEはかつては、StarOfficeやStarSuiteには付いていましたが、OOo2になって標準装備。
基本的にAccessとは全く別のアプリケーションなので、インターフェースからしてAccessとはかなり差があるようですが、やはりBASEが標準装備になった事実は大きいです。


【余談】

筆者は、残念ながらOOo2はしばらく様子見です。相変わらずOpenOffice1.1.4を使っています。
なぜかというと、使用用途に大きく関係します。筆者はCalcぐらいしか使っていませんが、そのCalcを主に「データ処理/加工ツール」として使っているからです。
OOoはMSOfficeよりも遙かに自由度の高いソフトウェアです。プログラムチック/カスタマイズチックな部分に関しては、Excelより優れていると思います(より正確に言えば、容易さはExcel。制限の無さで言えばOOo)。
ところが、OOo2はその辺の機能については、ある種強化されている部分もあるものの、逆に簡素化されてしまったところもあるので、どちらがいいのかはかなり微妙。とりあえず今のところはOOo2に移行する積極的な理由がないです。
確かにOOo1.Xは、ビジネスアプリケーションとして冷静に見た場合、アプリケーションの"安定性"を脅かしかねないほど自由度が高い気もします(^^;。ですので「まあしょうがないかな」という気持ち半分、残念半分です。


●関連リンク●

↓OpenOffice.org日本ユーザー会トップページ
http://ja.openoffice.org/
↓OpenOffice.org 2.0 の機能
http://ja.openoffice.org/www/dev_docs/features/2.0/
↓OpenOffice.org 2.0.1 ダウンロードページ
http://ja.openoffice.org/download/2.0.1/index.html
↓OpenOffice.org ヒストリー(歴史)と主な特徴
http://homepage1.nifty.com/tabotabo/ooo/history/ooohistry.html
↓OpenOffice.orgとStarSuiteはMS Officeを代替できるか(IT Pro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20050502/160384/?P=1