Firefox(ファイアフォックス)〜Webブラウザの概念を根底から覆すかもしれない!〜

Volume045:2005年03月11日(金)

Mozilla Firefox(モジラ・ファイアフォックス)。
名前ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。

ずいぶん長い間「Webブラウザ=インターネットエクスプローラ(以降IE)」と言っても過言ではない状況が続いていましたが、Firefoxが最近かなり人気です。
正直なところあまり期待はしていませんでした。どんなに優れたWebブラウザだとしても、「時既に遅し」の感がありますし、Firefoxを使わずとも十分使いやすいIE互換のタブブラウザがたくさんあります。
ですから、Firefoxが注目されていることは知っていたのですが、一時的なブームで終わるだろうと達観していました(^^;。

ですが、Firefoxが出て以来、本サイト(ツールインサイドHTML版)のアクセス解析結果に変化が現れました。
それまで本サイトを訪れていただくユーザの90〜95%はIEでした(ただ、注意しなくてはいけないのは、一口にIEと言っても、Sleipnir、Lunascape、Donut等のIE互換ブラウザも含まれてしまうのですが)。
そして、IEを除いた残りは何かというと、ほとんどOperaという図式でした。(もちろん、Netscape CommunicatorやSafariのユーザもごく少数いらっしゃいますが)
ところが、最近はOperaのユーザが減りそれに反比例してFirefoxのユーザが急増。また、IEからもある程度Firefoxに流れているようで、全体的にIEの割合は85〜90%になりつつある感じです。

↓ツールインサイドにおける、最近1ヶ月間のブラウザシェア

※Firefoxは「Netscape」種別になります。USER AGENT単位で見ると「Netscape」の中身は、ほとんどFirefoxです。


IEの鉄壁の牙城を(ほんのちょっとですが)崩したFirefox。かつてのOperaもこれほどの率を稼ぐことはなかったのでちょっとビックリ。
何がそんなにいいのか?
ということで、遅ればせながらFirefoxを使ってみました。
Firefoxの第一印象は、タブが使えないIEに比べればはるかにいいと思いますが、Sleipnir、Lunascape、Donut等と比べると必ずしも優れているとは言えない部分も散見されますので、積極的に人に勧めるほどではないです。
しかし、FirefoxをWebブラウザという単機能のソフトウェアと評価してしまうのは間違いです。
ある意味、Firefoxは「Webブラウザ」という分野に収まりきらず、ひとつのプラットフォームに進化する可能性を秘めています。ここがFirefoxが注目される最大のポイントだと思います。
Firefoxには「エクステンション(Extension)」という機能が装備されています。IEで言うプラグイン機能のようなものですが、プラグインとは比べものにならないほど強力かつ柔軟で、Firefoxに非常に様々な機能を追加することができるのです。
機能を追加するだけにとどまらず、宿主(Firefox)を乗っ取って、全く別のアプリケーションとして動作させることもできてしまうほど強力です。(例えば、FirefoxをToDo管理アプリにしてしまうMozilla Calendarなどが代表的でしょう)
このエクステンションの仕組みを使えば、Excelオブジェクトを取り込むことにより、フロントエンド(ユーザインタフェース)がExcelのWebブラウザ(?)だって不可能ではないでしょうし、特定のネットゲームに特化した専用端末など、いろいろな可能性が考えられます。
これがFirefoxの真骨頂であり、Firefox(Mozilla系ブラウザ)でなければ実現できない世界です。

手始めに定番の「Target Alert」と「Google Bar」を追加してみました。

「Target Alert」は、ハイパーリンクが別窓で開くのか同窓で開くのかを教えてくれるエクステンションです。
↓「旭川…」のリンクが別窓リンクになっていることがアイコンで示されるようになります。



「Google Bar」は、FirefoxでGoogleツールバーを使えるようにするエクステンションです。
Googleツールバーを手放せないからIEを使っている方も結構います(断言)。
その悩みを一挙に解決。(このほかにも、ツールバー関連のエクステンションは豊富にあり、PageRankも表示できるGoogleツールバーや、PageRankをステータスバーに表示するエクステンションなどその人の好みで選べます。

↓Google Bar(赤枠内)



【結論】

正直、Firefoxをデフォルトのままで(エクステンションを導入しない状態で)使うのならば、わざわざFirefoxを選ぶ意味はありません。デフォルトのままではキーアサインを変えることもできませんし、マウスジェスチャにも対応していません。Firefoxより数倍使いやすいブラウザがゴロゴロあります。
ところが、エクステンションを導入すると様相は一変します。
例えば、上記不足機能を追加するエクステンションはもちろんのこと、千差万別のエクステンションが数え切れないほどあります。
その中には、「右クリックメニューを禁止しているサイトでも右クリックをできるようにするエクステンション」(!)とか、「あえてタブ機能を無くすエクステンション」(?)とか、(筆者が知る限り)Firefoxでしか実現できないものも多いです。

ただ、日本語でエクステンションの解説をされているサイトはあまり多くないので、多少なりとも英語の知識はあった方がいいという意味で、万人にすすめられる状態ではないのが痛いところです。

筆者個人としては、現状使っているDonutRAPT以上の環境を実現するためには、まだFirefox歴が浅く、もうちょっと勉強しないと難しいので暫く併用することになりそうですが、併用するだけの価値があるブラウザです。エクステンションを知れば知るほど、Firefoxでないと実現できないことがいろいろ見つかります。
Firefoxに習熟した暁には、完全乗り換えも十分考えられると思えるぐらい、非常に期待が持てるブラウザだと思います。

しかし、エクステンションを機能拡張のためだけに使うのもったいありません。
前述したとおり、エクステンションを使えば、(ローカルにインストールされている)アプリケーションとの連携・統合も可能でしょう。そうなったときにはじめてエクステンションの真価が発揮されるのではないでしょうか。
Webブラウザという世界を超えて、ネットワークとローカルをシームレスに統合したデスクトップ環境的なものの実現さえ不可能ではないと思います。
そうなると、パソコンの使い方に革命を起こしかねない、ぐらいのポテンシャルを感じます。


●関連リンク●

Firefoxダウンロードページ:
http://www.mozilla-japan.org/products/firefox/

Firefoxエクステンションガイド(日本語)
http://www.mozilla.gr.jp/~syamagu/FxExtensions/page1.html

mozilla update(英語):各種エクステンションの総本山です。
https://addons.update.mozilla.org/?application=firefox