***************************************************************************
*        フリーソフト使いこなしマガジン tool inside        *
*          Volume026 発行日:2004年6月12日(土)        *
*           ==フリーソフトの私的考察==           *
***************************************************************************

★★★ フリーソフトの私的考察 ★★★
今回は、ちょっとおもむきをかえて。
筆者の私的な観点ですが、商用ソフトにはないフリーソフトならではの隠れた魅力
について。

・・・もちろん、フリーソフトの最大の魅力は、それが無料で使えることである
ことに間違いはないと思います。

ですが、筆者が現実にいろいろなフリーソフトやシェアウェアを使用しているのは、
その自由度の高さもかなり大きな理由です。

例えば、SleipnirやDonutRapt等のWebブラウザは本家IEとは比べものにならないほど、
ショートカットキーの定義を自由自在に変更できます。
実際、どんなに機能が多くても、それが分かりにくいショートカットだったり、
メニューの深いところに埋もれてる機能だと、その便利さも半減してしまうものです。
ましてや、同じカテゴリのソフトを複数併用する場合など、同じ機能がまったく違う
ショートカットに割り当てられていたりすると混乱の極みです(^^;
これらをより使いやすいショートカットに変更することができれば、結果的にその
ソフトの修得の手間暇も削減できるというものです。
ところが、商用ソフトは比較的こういう「自由度」が少ないものが多いです。
これはある意味いたしかたがない部分があるのも確かです。商用ソフトは売ることが
第一です。「カスタマイズが自由自在!」とパンフレットで謳ったたところで消費者
にアピールしませんからね(^^;。当然、開発の優先順位も下がらざるをえないわけ
です。
一方、フリーソフトは「自分が使いやすいと思うものを作りたい」というプリミティブ
な欲求が基本姿勢になっていることが多く、そういう地味な機能もないがしろにされま
せん。むしろ商用ソフトの差別化の意味もあってか、それが最大の特徴になっている
フリーソフトも少なくありません。

ただ、問題はそのカスタマイズの手間です。
最初のカスタマイズの手間はしょうがありません。そもそも、自分が一番使いやすい
設定というのは人それぞれですし、試行錯誤していくうちによりよいものになっていく
ものなので、ある程度の期間と手間暇がかかってしまうのはしょうがない部分でもあり
ます。
ですが、問題はその後です。同じソフトを同じ設定で、別のPCで使いたいと思ったとき
や、OSを再インストールしたときに、再度同じ設定をしなければならないのはあまりに
苦痛です。
極端な話、インストーラのお世話にならずに、単純にインストールされたファイルを
別のPCにコピーして再現できれば言うことありません。
それが不可能でも、設定が保存されているファイルが分かっていれば、そのファイル
だけを取っておいて、インストールした後にそのファイルだけ差し替えることができ
れば便利です。商用ソフトだとこの辺の操作はなかなかうまくいかないことが多いの
ですが、フリーソフトだとこの辺もちゃんと考えられています。

こういう意味での「自由度の高さ」というか、「見通しの良さ」がフリーソフトの
魅力だと思います。
ただ、この辺の説明がヘルプに書かれているとは限りません。というより、書いてい
ないケースがほとんどですので、ある程度の知識が必要です。
ソフトによってその方式は多種多様ですが、だいたい、INIファイル方式とCSVファイル
方式が多いと思います。

★★★ 例(HotkeyLauncherの場合) ★★★
例えばHotkeyLauncher(前号で採り上げた、ランチャーソフト)の場合ですと、
インストールしたフォルダの直下に
・HKLaunch.INI と、
・HKLaunch.CSV という
ファイルが作成されます。
HKLaunch.INIには、アプリケーション本体の動作オプション設定が保存され、
HKLaunch.CSVにはショートカットの設定が保存されるのですが、そんなことはヘルプ
を見ても書いてありません。ですが、中身をテキストエディタで開いてみると分かると
分かると思いますが、多少の英単語の知識があれば、説明されるまでもなく一目瞭然
です。その値が何を意味するかまでは分からなくても、それが何の設定を記述した
ものであるかはすぐ分かると思います。
例えば、以下のようになっています。

【HKLaunch.INIの中身の例】
[COMMON]
HOTKEYLIST=C:\Program Files\HotKeyLaunch\HKLaunch.csv
DISPLAYICON=TRUE
NOTASKTRAY=FALSE
MODIFIERSLISTHOTKEY=3
KEYCODELISTHOTKEY=90
MODIFIERSMENUHOTKEY=0
KEYCODEMENUHOTKEY=0

【HKLaunch.CSVの中身の例】
3,112,0,"C:\WINDOWS\explorer.exe","/e, a:\","C:\WINDOWS",5,"ADrive",67109424
3,113,0,"C:\WINDOWS\explorer.exe","/e, c:\","C:\WINDOWS",5,"CDrive",67109424
3,114,0,"C:\WINDOWS\explorer.exe","/e, d:\","C:\WINDOWS",5,"DDrvie",67109424
3,115,0,"C:\WINDOWS\explorer.exe","/e, e:\","C:\WINDOWS",5,"EDrive",67109424
- - - - - - - - - -- - - - - - 以 下 省 略 - - - - - - - - - - - - - - - - -

HKLaunch.CSVの中身はちょっと分かりにくいと思いますが、HKLaunch上で、定義した
ショートカットが列挙されています。
上記の例では、
CTRL+ALT+F1に、explorer.exeを、"/e, a:\"パラメータを付けて起動、
CTRL+ALT+F2に、explorer.exeを、"/e, c:\"パラメータを付けて起動
・・・という風な定義をしています。
こうすると実際どういうことが起こるかは本筋ではないので省略しますが、これを
見れば、ショートカットが定義されているファイルらしいと言うことは分かります。


つまり、HotkeyLauncherを他のパソコンで使いたい場合は、HKLaunchをインストール
した後に、HKLaunch.CSVを差し替えればよさそうだということが推測できます(実際、
それでうまく行きます)。
また、HKLaunch.CSVはテキストファイルなので、設定を追加・編集するときに
HotkeyLauncherの画面から行うのではなく、このファイルを直接編集することでも
可能です。もともとHotkeyLauncherというソフトは自分でショートカットの設定を
追加しなければ用をなさないソフトですので、大量のショートカットを定義する際、
画面でやっていると手間もかかりますし間違いも起こりやすくなります。
ですので、場合によってはHKLaunch.CSVを直接編集したほうがよっぽど楽だったり
します。

この辺のことを理解すると、フリーソフトは単に「無料のソフト」ではなく、商用
ソフトでは得られない、いろいろな利便性をもたらしてくれるソフトだということが
分かると思います。