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*        フリーソフト使いこなしマガジン tool inside        *
*         Volume018 発行日:2004年5月13日(木)         *
*              ==GNUとは==               *
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さて、本メルマガもVolume018まで来ました。
あまり詳しい説明もなしに、とにかくソフトを紹介しまくってしまった気がします。
当初の予定だった「初心者向け」という構想から大きく外れ、初心者にはわからない
用語が多すぎるような気が・・・。
というか、話題がマニアックな方向に走りがちなことがそもそもの原因のような
気もします(^^;
ということで突然ですが、従来通りのフリーソフトの紹介の回と、用語の解説の回
とを織り交ぜてお送りしていきたいと思います。

とは言え、Web辞書を引けば載っているようなことは、最小限に抑えるつもりです。
辞書的な説明は、他にいくらでも詳しい説明が見つかりますし、そういう文章は
苦手です(^^;
あくまで「tool inside」的な観点からみた用語解説です。
フリーソフトを使う際にはどうなのか、フリーソフトを使う側からみてどういう意味
なのか・・・
ということを重点的に解説していきたいと思います。
ということで、早速用語解説1回目。「GNU」です。

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目次
・GNUとは何か?
・GNUであるということは?
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★★★ GNUとは何か? ★★★
フリーソフトを使っていると時々目にする「GNU」という言葉。
UNIXの世界にとどまらず、最近はWindowsの世界でもよく目にします。
そもそもなんと発音するのかもわかりにくいですが、「グヌー」とか「グニュー」と
発音するのが多数派のようです。

GNUとは(Gnu is Not Unix)の略だそうです。
「GNUはUNIXではない」という自己否定的な意味もよくわかりませんが、GNUの説明
の中にGNUが入っているという、まったく説明になっていない説明・・・。
これは、単なるシャレのようです。
コンピュータオタク的表現で言うと、「再帰的(リカーシブ)なネーミング」が一時
その世界で流行ったそうで、その時のノリで付けてしまった名前っぽいです。(^^;
このような、狭い世界でしか理解されそうにないネーミングですが、それに反して
GNUは世界的な潮流となりつつあります。
GNUプロジェクトは、リチャード・ストールマン(Richard M. Stallman)という
方が始めたもので、「ソフトウェアは"フリー"であるべきである」という理念に基づ
いています。
ここで"フリー"という用語の意味は、"無料"の意味ももちろんありますが、
"第三者が自由に手を加えることが可能なかたちで提供する"という意味が含まれます。
具体的に言えば、ソフトウェアのプログラムソースを公開するということです。
UNIXの世界では、GNU以前から、"フリー"の精神というのが尊重されて来ました。
UNIXというOS自体、AT&T ベル研究所で作られ、その後一般に無料公開されたOSです。
誰もが自由に使えるのが当たり前だったのです。
そういう土壌があったため、リチャード・ストールマンの元に世界中の優秀なプロ
グラマが大勢結集し、ほとんどボランティア状態なのにも関わらず、数々の優秀な
ソフトウェアが作られています。
GNUから生まれた、もしくはGNUに少なからず影響を受けているのは、
「Debian GNU/Linux」などのOSから始まり、「gcc(Cコンパイラ)」、
「apache(webサーバ)」、「gimp(高機能グラフィックスソフト)」等々、
数え上げればキリがありません。

その中にはWindowsに移植されているソフトも多いので、使っている方も結構多いの
ではないでしょうか。
筆者も、Ultr@VNC(ウルトラVNC)やEthereal(イーサリアル)等、GNUソフトウェア
には大変お世話になっています。

GNUの説明はこれぐらいにしましょう。
もっと詳しく知りたい方は、
The GNU Project
    http://www.gnu.org/gnu/thegnuproject.ja.html
History of GNU
    http://pcweb.mycom.co.jp/special/2004/gnu/
等が読みやすくておすすめです。


★★★ GNUであるということは? ★★★
さて、そのソフトウェアがGNUである(GPLに準拠して配布されている)という
ことは、「ソフトウェアのプログラムソースを公開する」ことも意味することは
既に述べました。ですので、優れたソフトウェアであればあるほどそれを元にして
第三者が独自拡張したバージョン(派生バージョン)が登場するのが常です。
例えば、先ほどのUltr@VNCも、VNCというソフトから派生したソフトですし、他にも
TightVNC(タイトVNC)、TridiaVNC(トリディアVNC)等、多くのVNCファミリーが
存在します。
この辺が、逆に取っつきにくさがあるかもしれません。どこかが集中管理している
わけではないので、それぞれの派生バージョンがまったく違う方向性を持ったもの
だったりするわけですから。
このような場合、やっぱり頼りにするのは、ベクターや窓の杜のレビュー記事だっ
たりします。(^^;
その次が「tool inside」でしょうか。

・・・冗談はこれぐらいにしておきます。m(_ _)m
確かに人の評価というのはある程度は参考になるものですが、実際に使ってみると
まったく印象が違うことも珍しいことではありません。
Aさんにとってはありがたい機能がBさんにとっては余計なお節介だったり、
Cさんにとってとるに足らない機能がDさんにとっては必要不可欠な機能だったり
します。
例えば、私はIME(漢字変換システム)で一番重視するのは、ローマ字規則の柔軟性
だったりします。
なぜならば、筆者は普段、「X」を「ー」に割り当てて使っているからです。
こういう変則的な設定が出来ないMSIMEはどんなに他の部分が良かったとしても
NGです。(レジストリを手動で書き換えれば出来なくはないですが)
このように、人によってそれぞれの判断基準があるので、GNUソフトウェアであり
がちな数々の派生バージョンも、それぞれの開発者が「こんな機能が欲しいから」
とか、「ここはこのほうが絶対使いやすい」という判断の元に改良を加えたもの
ですので、その中に自分の用途にベストマッチしたものがあるかも知れません。

そういう点では、まさに「かゆいところに手が届く」ソフトウェアが見つかり
やすいのがGNUソフトウェアなのかも知れません。