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2008/05/07→05/11

BLOGENT(ブロジェント)について

BLOGENTとは

BLOGENTとは、SONYが独自に運営するアフィリエイトプログラムです。4月に開始されたばかりのASPです。参考→ソニー、アフィリエイトサービス「BLOGENT」発表 - 利用しやすさを強調
このASP、現状アフィリエイトできる商材はSONY Styleで扱っている商品のみ。
しかも、現金報酬にならない(ソニーポイントでの獲得になる)。
今時、そんなASP、誰が登録するんでしょう?
とか何とか言いながら、ほとんど冷やかしで登録しちゃった自分なのですが、やっぱり使い物にならないASPです。(^^;
せめて、リンクシェアに入っているSONY Styleより料率が高ければ話もわからないもないけど、そうでもなし。従ってまったく意味なし。
ましてや、他のECサイトが入ってくるなんてまずあり得ないでしょう。一応、他のECサイトもBLOGENTに参入できるらしいんだけど、結局アフィリエイターへの報酬はソニーポイントで支払われるんでしょう? 事実上、SONYグループ(SONY損保とかSONY銀行とか)限定と言っているに等しいと思うわけで。
正直、SONYの後ろ盾があるから成り立つのであって、ASPというよりも、ソニスタの拡販手法の一種と考えた方がまだしっくりする。

ダイレクトリンクとは

一つだけBLOGENTに目新しいところがあるとすれば、「ダイレクトリンク」です。
普通、ASPはアフィリエイトリンクを作成する必要があり、これが、結構めんどくさいのは事実。そして、初心者にとってはこのアフィリエイトリンクの作成が結構ハードルになっているかもしれないのも事実。
一方、ダイレクトリンクは、例えば、http://www.jp.sonystyle.com/みたいに、普通のリンクを張ればOKです。
なぜこんなことが可能なのか。
それを説明するには、まず、従来のアフィリエイトリンクの仕組みから解説しましょう。(正直、ECサイト側の仕組みはかなり推測も入っていますし、図もかなり概念的なので参考程度に)

一般的なアフィリエイトリンクの仕組み

(図の説明)
一般的なアフィリエイトサイトは、アフィリエイトリンクをクリックしてもらうことにより、購入者のパソコンにクッキーを作成します。
このクッキーには、「あなたのアフィリエイトサイトのID」が含まれています。
ECサイトは、注文が発生したときに、その注文を行ったパソコン(購入者のパソコン)のクッキーを参照します。
その時に、あなたのIDのクッキーが存在すれば、あなたのサイトを経由して購入されたと判断します。

クッキーを作成するのには、通常、JavaScriptというプログラムを使用します。(アフィリエイトリンクの中にJavaScriptの実行分が含まれています)
ですので、もし購入者がJavaScript実行禁止にしていたり、クッキーの作成を禁止にしてWebブラウザを使用している場合、このアフィリエイトリンクの仕組みは効力を失います。(つまり、アフィリエイターの報酬にならない)

一方、ダイレクトリンクは以下のようになっていると思われます。

ダイレクトリンクの仕組み

(図の説明)
アフィリエイトサイトは、直リンクで購入者をECサイトに誘導します。
Webブラウザは、ページをジャンプする際に、ジャンプ先のページに対し、リファラーという情報(どのページから飛んできたか)を知らせる仕組みになっているので、ECサイトはそのリファラー情報を獲得し、ECサイト側で持っているアフィリエイトサイト一覧情報とつきあわせます。
もし、アフィリエイトサイト一覧の中にあなたのアフィリエイトサイトのURL(左図の例でいうと、"www.aaa.bbb.com")が含まれていれば、あなたのサイトを経由して購入されたと判断します。
この仕組みですと、購入者のパソコン側でJavaScriptを実行する必要もありませんし、クッキーを作成する必要もありませんので、購入者のWebブラウザの設定にかかわらず、確実にアフィリエイターへの報酬へと繋がります。また、クッキーが使えないことが多い携帯電話ブラウザからのアクセスも確実に報酬に繋がるというメリットもあると考えられます。

メリットとデメリットがある

一見、なかなか良さそうな仕組みです。少なくとも、アフィリエイトリンクを作成する手間が省けるという点では、アフィリエイターにもメリットがあります。
ですが、必ずしも良いことばかりではないと思います。
メルマガアフィリエイトは不可。 リファラーがローカルファイル名になってしまうので、ECサイト側で判断できません。
お気に入りからなどの直接アクセスはNG。 クッキー方式だと、クッキーさえ作成されていれば、後日、あなたのサイトを介さずに「お気に入り」や検索エンジンの結果から直接ECサイトに飛んで購入したとしてもちゃんと報酬になります。
一方、ダイレクトリンク方式の場合はNGです。
これは結構大きな差です。
ASPのトラッキング情報を見ていると、クリックした日時と購入した日時がかなり離れていることも珍しくないのですが、そういう場合、購入者はどういう行動をしているのかを推測すれば自明だと思います。
リアル店舗での買い物でも良くあることですが「一応商品のチェックだけしておいて、あとでもう一度考えてみよう」的な行動を取る人は多いのです。
そういう購買パターンで買われた場合、アフィリエイターへの報酬になる確率は限りなく低いダイレクトリンクと、確実に報酬になる(少なくとも確率は遙かに高い)クッキー方式。
分かりやすく言えば、ダイレクトリンクは即買いパターンしか報酬にならないということです。
普通に考えれば、クッキー方式の方が圧倒的に優れていると考えますが。
セキュリティソフトでリファラーが隠されているとNG。 意図せずとも、リファラーを隠す設定になっているパソコンもあるでしょう。(セキュリティソフトの設定で)
つまり、このような環境は参照先のページにリファラーを伝えないので、当然NG。
プロキシを介したアクセスはNG。 プロキシは、リファラを本来のリファラをプロキシサーバーに書き換えて通信を行いますので、当然NG。
検索エンジンのキャッシュからのアクセスはNG。 滅多にないと思いますが、検索エンジンのキャッシュページからECサイトにアクセスした場合には、リファラーは検索エンジン側のURLになってしまうので、当然NG。

やっぱりダイレクトリンクは損

以上、ダイレクトリンクの損得を考えてみると、ダイレクトリンクの方が損であることはまず間違いないところ。ダメ押しでソニーポイントでの獲得。従って、本気でアフィリエイトを考える人にとっては箸にも棒にもかからないとしか言いようがないBLOGENT。
もっとも、それは、BLOGENTは分かっているようで、BLOGENTはトップアフィリエイターよりも、初心者アフィリエイターをターゲットにしたASPのようです。
なにしろ、小難しいアフィリエイトリンクを生成しなくて済むんですから取っつきやすいですね。そして、アフィリエイトに対して抵抗を感じている人にとっても、サイトの見た目上、アフィリエイトをやっていることは分からないのもいいことでしょう。

サイト認証がないのはヤバ過ぎじゃ?

とは言え、厳しいことを言わせていただくと、BLOGENTが本気でASPを目指しているとは到底思えないです。
それは報酬のあり方や、ECサイトが非常に限定的であることもそうですが、システムの仕組みが脆弱すぎです。
申し込んでみてびっくりしたのですが、なんとBLOGENTはサイト認証がないのです。
それでいいはずがないのですが!?
ダイレクトリンクの仕組み上、サイト認証は必須でしょう。サイト認証がないと、他人のサイトを自分のサイトだと偽って申し込んでしまうことも出来るのですが??
通常のASPならば、そういう不正行為があったとしても、結局自分のIDが埋め込まれたタグをそのサイトに設置できなければ意味がないので金銭的な問題には発展しませんが、ダイレクトリンクは違います。他人のサイトから発生した報酬を横取りできてしまうのです。そして、本当の所有者がBLOGENTに申し込まない限り不正が発覚しません。
こんなセキュリティ的に脆弱なやり方で、本格的なASPが成り立つわけがありません。
当然、BLOGENTが大きくなれば、そういう方式も採り入れていくことにはなると思いますが、一方で「敷居の低さ」を売りにしているだけに、このサイト認証というめんどくさい手順を導入することによるダメージを考えると、かなり勇気が要るのも事実でしょう。
ただ、このまま放置すると不正の温床になって崩壊しかねない危険さえ感じます。
そんなこんなを考えると、やっぱりBLOGENTはASPというよりも、ソニスタ拡販のためのサービスであり、SONY製品のコミュニティサイトの一種と考えるのが妥当。
それ以上でもそれ以下でもなしという感じ。

最後に〜ECサイト側の対応は大変そう

ところで、ほとんど余談ですが、気になったことがもう一つあります。
確かにアフィリエイターにとっては簡単なダイレクトリンクですが、ECサイトにとってはそれなりにめんどくさいことになりはしないかと。
普通、ECサイトがあるASPに加入してアフィリエイトプログラムを提供する場合、ECサイトが行わなければいけない改修は、注文の画面だけだと思われます。
一方、ダイレクトリンクの場合、そのECサイト全ての画面に対して、何らかの改修が発生することになると考えられます。なぜならば、アクセスを全てトラッキングしなければいけないからです。注文が発生したときに、最初にアクセスしてきたときのリファラが分からないといけないからです。
もちろん、そんな気が遠くなるようなことやっていられないので、何らかの簡便な仕組みが用意されていると思われますが、にしても、結構インパクトが大きい改修作業になると思われます。
そこまでしてBLOGENTに加入しようと思うECサイトが果たしてどれだけいるのか、はなはだ疑問としか言いようがないですね。