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2008/06/02

アクセス解析を用いた利用動向リサーチ

サイトを運営していると、「訪問者がサイト内をどう動いているのか」を知りたくなってくるものです。
設置しているアクセス解析にもよりますが、訪問者の行動を分析したり追跡したりすることもできます。これらの情報は、実際どれほど役に立つかは(役立てることができるか)は微妙なところなのですが、少なくとも「確認」ができるという意味では大きな意味を持ちます。
「確認」とは、つまり、
・どの程度自分が意図した通りに訪問者をナビゲーションできているのか?
・自分の意図と、訪問者の期待が乖離していないか?
というような確認です。

入口調査/出口調査

訪問者が最初に訪れたページ(入口ページ)はどこなのか、最後に訪れたページはどこなのか(出口ページ)をランキング形式で調査する機能です。
実際にどういう情報なのかというと、例えば、Google Analyticsだとこんな感じです。(Google Analyticsでは「入口ページ」=「閲覧開始ページ」という用語になります)

Google Analyticsの「閲覧開始ページ」ランキング
←補足:「直帰数」とは、「そのページに訪問して、(その他のページの閲覧を開始せずに)離脱してしまった数です。「直帰率」はその割合です。
蛇足ですが、Google Analyticsでは出口調査(Google Analyticsの用語で言えば、「離脱ページ」の調査)も同様な形式で行うことができます。
このようなランキングがどのような役に立つのかというと、少なくともこの情報だけではあまり役に立ちません。正直、「あぁ、やっぱりね」ぐらいなものです。
普通に考えれば、調査するまでもなく入口ページとして多いのはトップページだと思われますし、出口ページもトップページが多くなるのが自然な成り行きです。もちろん、そうでない場合もありますが、キーワードのランキングを見てみれば、だいたい予想がつくレベルの情報であることがほとんどです。
ついでに参考までに書いておきますが、直帰数/直帰率に関しても、知ったところで現実はあまり役に立ちません。
一般論では、直帰率は小さければ小さいほど良いのですが、十把一絡げにそう言える類のものではないからです。まずは、「なぜその直帰率なのか」という理由が分からなければ改善しようがないですし、そもそも改善することが良いことなのかどうかも分からないからです。
たとえばの話、直帰率が高いのは、むしろLPOがうまく行っている(訪問者の要望にピンポイントに応えられている)証なのかもしれませんし、カテゴリトップのような経由ページは直帰率は高くならいのは当たり前ですし。そういう、ページ個々の事情を無視して直帰率を云々するのはナンセンスです。

経路追跡

ある一人の訪問者に注目して、その人がどのようにページを移動したか、を追跡することもできます。

アクセスアナライザーでの例
←このケースでは、471292364というIDが付けられた訪問者(HTTPセッションのIDだと思われますが)に着目してログを表示しています。
こうすることによって、その訪問者がどういう順番でページにアクセスしたのかが分かります。

アクセスアナライザーは、特別経路追跡がやりやすいわけではありませんが、情報的には非常に細かく分かります。
こういう情報は、データとして統計的に処理できるものではないので客観性に欠けるのは致し方ないところですし、情報として生かしにくいところではあります。ただ、ネットショップでは、リアル店舗とは違って来訪者の動きが分かりません。ですので、このような非常に具体的な情報を得ることは決して無駄ではないと思います。
例えば、お客さんによっては、ある一つのカテゴリだけ集中してみている人もいらっしゃいますし、驚くほど広範囲にわたってノンジャンルで渡り歩いている方もいらっしゃいます。これら、実際の行動パターンを多く見ておくことによって、サイトの作り(ナビゲーションの仕方)に関して、どうすればいいのかということも感覚として分かってくるようになりますし。

前ページ集計/次ページ集計

経路追跡の一種ではありますが、前ページ集計/次ページ集計という追跡の仕方もあります。
前ページ集計 ある特定のページを基点に、そのページを見る前に見ていたページは何だったのかを集計。
次ページ集計 ある特定のページを基点に、そのページの次に見られたページは何だったのかを集計。
する方法です。
例えば、こんな感じ。↓

忍者ツールズの例
←トップページの「次ページ集計」をとった結果。
これは比較的、アクセスしてきた人個人の興味/趣向に関係なく、一般的にどのページに興味を持たれているか、が分かったりします。

例えば、野球用品とサッカー用品を扱うショップだとして、野球関連のページにランディングした人は、野球関連のページを重点的に見る傾向がありますし、サッカー関連のページにランディングした人はサッカー関連のページを重点的に見る傾向があります。これは当然です。
ですので、一人一人の経路追跡は、良くも悪くもある種のバイアスがかかってしまいます。
ところが、トップページの「次ページ集計」を取ると、全体的な興味対象が分かったりします。なぜならば、トップページを訪れる人は、以下のような訪問者が多いからです。
訪問者の属性 訪問パターン 興味対象
常連さん トップページにいきなり訪れるパターン 新着情報
一見さん 他のページからサイトトップへのリンクをクリックして訪れるパターン 自分の興味の対象に合致する他の記事や、それ以外にも何か面白そうな記事がないのかな? という漠然とした興味。
もしくは、サイト自体に興味がわいた。
こういう場合、当然、「気になる記事」や「面白そうな記事」を、自分の目で探すわけです。つまり、ここには検索エンジンが介在せず、100%その人の意志で記事を選択するわけです。
ですので「トップページの次に何を見ているか」が分かれば、少なくともそのサイトを訪れた人は野球に興味を持つ人が多いのか、サッカーに興味を持つ人が多いのか、と言ったことが比較的公平に判断できる、と自分は考えます。
こういう情報は、サイトの方向性を考える上で一つの材料になります。